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ベトナム~夏休み~

2006年11月20日

日本を出てから香港~マカオ~中国と、絶えず赤とんぼの姿を目にしていたので、僕は秋を追って旅をしている様な気がしていた。 


ニャチャンは近年リゾート化が進められているベトナム南部の街。海岸沿いの道路には椰子の木が植えられ、いかにもリゾート地という感じだ。ビーチも白く長く伸びていて、それだけ見ていても気持ちがよい。 



地元の人間は朝早くか夕方でないとあまり泳がないようで、昼間は白人観光客がちらほらと泳いだり、日焼けをしていたりするくらいだ。人もまばらで落ち着いたビーチ。 


一人で泳ぎに行っても淋しいなぁ、などと思ってここに着て二日は海を眺めているだけだったが、今朝起きるとあまりの天気の良さに、なぜ海がそこにあるのに泳がないのかが分からなくなり、タオルを一枚持って泳ぎに出かけた。 


海に飛び込むと思いのほか水温は高く、気持ちが良かった。透明度はとても高く、自分の肩くらいまで浸かっても足の先まではっきりと見える。砂の粒子が少し大きく重いせいか、波が立って砂が巻き上げられても、すぐに底に沈み波打ち際の海水はは透明に見える。 


穏やかな海が起こした波紋に太陽の光が屈折し、海底に波の影を映し出す。海の底までゆらゆらと揺れているような気になってしまう。それを眺めていると、海水の中がきらきらと光っている。細かい砂か何かに光が反射し、水の中にラメを入れたように光っていのだ。 


そんな光景を見ていると、日本を出る前に高校の時代の仲間と逗子の海に行ったのを思い出した。男二人でビールを飲んだり、日焼けをしたり、女の子を物色したり。 


日も暮れ始めた頃、その場に居ない同じ高校の仲間の話になった。仕事が多忙なその彼を心配し、多忙な彼にこそ自然を眺めゆったりとした時間が必要なんじゃないか、自由人二人でそんな事を話した。 


異国の地に居る理由は人それぞれだ。同じ宿に泊まった人や酒場で会った人と話すと、仕事でだとか、勉強で来ているとか。しかし、西洋人で一番答えが多いのは「Holiday~休日」との答えだ。 


大学を2年間休学して、その間世界を旅しているだとか、仕事を変える前に旅に出ているとか。人生の休日を旅と言う手段で費やしているのだ。学業や仕事に少し閉塞感を感じ、何のしがらみもない異国の地で自由を満喫し、帰って行く。 


もちろん、全ての人がそうだと言うことではないが。 



暑い中ぼんやりしていると、僕のこの旅も人生における夏休みのような気がした。 


この旅路の終わりはどこなのか。
旅を終えた後はどうするのか。
夏休みの宿題は難しい。

小高い丘の上に建つニャチャン大聖堂

マリア像が美しかった

墓標なのだろうか 一通り目を通すとベトナム戦争の頃に亡くなった人が多く見受けられた

ニャチャンの町でよく見かけた古本屋 ベトナム人は読書家が多いのか

シクロの運転手のお昼寝

プロパガンダアート 工業を盛んに!みたいな感じかな

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