スペイン~ヤクザと画家と俺~
2011年07月07日更新できる回数が減ってしまったんだけれど。
その間も沢山面白いことがあって、みんなに伝えたいことが沢山できた。
でも、すべてを今は伝えられない。
だから、日本に帰ったらあいだあいだを埋めるようにまた書きたいと思う。
スペイン南東部、アルメリアのあたりを走り抜けるときのこと。
ミシュランの地図も見かけないど田舎。
大まかな地図で見ると、まともな道路がないように見えた。
やばいなぁ。俺、このエリアを抜けることができるのか。
えらく不安だった。そのずいぶん来たの町にいるときから。
そのエリアに入る手前で2泊して飲んだくれて栄養をつけることにした。
キャンプサイトでは二日とも隣人にビ-ルをもらっていい調子だった。
そこから走り出すと、思いのほか順調だった。
でも最初だけ。
海や緑から縁遠い、荒野へ入り始めた。
通り過ぎていく町々は鉱山で栄えた町ばかり。
味気ない道路と、枯れた大地。
暑さにも参った。前日に飲みすぎたせいなのか。
走っては休み、を繰り返す。
だめだ。
早いところキャンプ場に入ろう。
そう思って、海辺の町でキャンプ場を見つけて昼過ぎにチェックインした。
海が真正面にあるキャンプサイト。
ずいぶんいい所に入ったと思った。
ビ-ルとワインを飲んで早く寝ようと思ったら、隣のテントに住んでるおっさんから声がかかった。
自転車のギヤの調子が悪いから見てくれないか。
そういう話だった。
あのおじさんたち、ム-チョ・ロコ(えらく狂ってる)から気をつけてね、って近くのテントに住む少年に言われていたので警戒してたんだけど。
一通り自転車をみたけど、にわかチャリダ-の僕にはわからず。
でも、おっさんは後で一杯やろうぜって言ってきた。
こっちも酒をのんでいていい調子だったので快諾した。
そのおっさんはスペイン人かと思ったらオ-ストリア人で、スペイン人の画家のおっさんと一緒に旅してるとこのことだった。
腕に汚い刺青が入ってたそのおやじ。
一緒に飲みだすと、ジョイント巻き始めた。
3人で話をしてたら、本当かどうかわからないけど相当ヤバイおっさんだった。
ドラッグディ-ルに関連するやくざもんで、3人殺して20年近く刑務所に入ってたって言うんだ。
ほら吹きの酔っ払いかなぁとも思ってた。
画家のおっさんも帰ってきて、3人で町にビ-ルを飲みに行くことになった。
画家の親父は英語が話せない。やくざもんが通訳してくれて成り立つ会話。
俺のタトゥーを気に入ったやくざもん。
お前、服脱いで刺青見せて歩いちゃえよ!なんて言う。
街についてから、やくざもんはムスリムの若者と消えた。
ハシシを買いに行っちゃったんだな、多分。
画家のスペイン人と二人でビ-ルを飲みに行くことになった。
ダリ、ピカソ、絵の話をした。スペイン語でも英語に近い単語があるから結構理解できた気がする。
知的で、冷静なその画家。
彼が言うにはダリはピカソに比べたら鼻くそみたいなもんだって言う。
まじか。ピカソのゲルニカを頭に思い浮かべてみる。
しばらくしてやくざもんが帰ってきた。
いい女を見ると鼻息を荒くして俺に問いかける彼。
気に入らない話になると、すぐ切れる。
歩き方は、まさに肩で風をきると言った感じ。
なんだか思った。
俺の大好きな映画のGood Fellowsみたいだと。
オ-ストリアのおっさんは最後に殺されてしまう喧嘩っ早いあいつ。
画家の冷静な親父はロバ-ト・デニ-ロが演じてたあいつ。
そして俺が主人公。よく言いすぎというか裏切り者か。
でも、3人で買ったばかりのハシシを海辺で吸ってたら昔からの仲間のような気がして楽しかった。
酔っ払って、女を見てはしゃいで。
結局ナンパもせずに帰って。
翌朝、どうしようか迷った。
もう一日こいつらと遊んでいたい、と思ってた。
でも、進まなきゃいけない。旅路は長いのだ。
画家の淹れたコ-ヒ-を飲んで僕らはさよならした。
別れもあっさりした画家。
大きなハグと、海を見たらお前を思い出すからな、と言うやくざもん。
忘れるかよ馬鹿やろう。
一晩だけのGood Fellows。
暑い朝だった。
酒を抜くにはちょうどよかった。
この後、荒野をひたすら走りぬける道の中で、中年の夫婦にオレンジジュ-スと水の差し入れをもらったんだっけ。
![]() モハカルというあたりのキャンプサイト El Cantal de Mojácar 目の前が海 | ![]() 狂ったおじさんが居るよと教えてくれたガキ |
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![]() 狂ったおじさんたち ヤクザが奥で手前が画家 イーゼルが物干しみたいになってた |
