治験落選のお知らせ~ロサンゼルス~
- ナシオ
- 2016年5月1日
- 読了時間: 3分
何とも不思議なメールがやってきた。

「スクリーニング検査(事前の健康診断)の結果は良好でしたが、定員が満たされた為にチェックイン(入院)出来ません。」
そう、一獲千金を狙ってアメリカにやって来た治験のボランティアに落選してしまったのである。
メキシコに居る間、3週間も前から検査に受かるべく色々な節制をしてきたのに不可解な結末である。
血液検査のためにカフェイン・アルコールなどを抜いて準備をしていた。
検査の数日前から煙草を止めたりもした。デトックスが進むようにと大量の水も飲んできた
一緒にメキシコからやって来た友人たちも同じ結果だった。
いつくるか分からない連絡を待っていたこの何週間の間、気が滅入ってしょうがなかった。 入るかも知れなかった8500ドルもの大金の使い道を考えること位しか楽しみもなかった。
まぁ終わってしまった事はしょうがない。 自分の体が検査を通るくらいの健康体だった事が分かったのが良かった事として、次に進もうではないか。
落選の知らせを聞いてすぐに治験の会社に電話をし、近いうちにある治験の話を確認して少しでも金になりそうなものに応募する事を伝えておいた。
また一から事前の健康診断を受けなければいけないのだけど、背に腹は抱えられない。それの結果次第で皿洗いでも引越し屋でもやって何かしらの金を稼がなくては。
アメリカ滞在が赤字になるのだけは避けたい。
けれど暗いニュースばかりでもない。
治験のボランティアの落選が決まった日の夕方、ロサンゼルスに暮らす日本人の友人とおよそ10年ぶりの再会をする事が出来たのだ。
彼女に宿のそばまで迎えに来たもらったのだが、彼女が変わりない事以上に連れてきた二人の子供達の元気の良さに驚いた。
日本語と英語を操るバイリンガルの子供達。小難しい英語を使わない分彼らたちの言葉は理解しやすかった。

彼女の車に乗ってグリフィス天文台と言うロサンゼルスが一望できる場所へ連れて行ってもらった。 かの有名な白い"HOLLY WOOD"のサインも見えるし、景色の良さが落選して少し沈んだ気持ちをどこかへ吹き飛ばしてくれた。

彼女の子供たちも時間が経つにつれて仲良しになって、僕の事を「ケイケイ!」と呼んだりしてくるようになった。
子供達と触れ合っているだけでも楽しかったのだけれど、天文台の後にはハリウッドのスターの手形が通りに埋め込まれたチャイニーズシアター前なんかにも連れて行ってもらった。
帰り際にマクドナルドでお茶して夜には宿まで送り届けてもらう事に。
もやもやした気持ちも晴れ宿に帰ると、治験落選残念会みたいな事になり、大好きなビールをメキシコから連れ立った仲間と宿の管理人さんも一緒に楽しんだ。
あーでもないこーでもない、どうでもいい話や女の話をしていると酔いも深まり、リトルトーキョーの中華屋に行ってラーメンで〆る事にした。
ビールにチャーシューメン。
スープがもう少しパンチがあってもいい気がしたけれど、飲んだ後のラーメンと言う極めて日本的な贅沢は節制してきた自分にとって相当なご褒美だった。
この先しばらくはロスで頑張ってみようと思う。 アメリカ滞在を赤字で終わらすことはできないのだ!
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