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二度目のスクリーニングとロングビーチ~ロサンゼルス~

  • ナシオ
  • 2016年5月11日
  • 読了時間: 4分

翼の先端に灯された赤と緑のナビゲーションライトを見ているとメキシコの国旗を思い出す。

空港が比較的近いせいか、宿の玄関先の喫煙スペースで夜空を見ていると沢山の飛行機が通り過ぎていくのが見える。

物価の安さや出会った人々の温かさを考えるとメキシコが恋しくなってしまう。また会いたいと思う人も居るから余計にそう思うのか。

前回の治験に落選してしまったので、別の治験の事前検診へ行ってきた。

日本語の通訳のもと同意書にサインをし検診が始まるのだが、まずは身長・体重の測定だ。

今宿泊している浜田宿は美味しいお米が食べ放題なのでつい食べ過ぎてしまったようだ。前回の検診よりも体重が増えていた。

血圧と体温を計り、次に心電図を計る。心電図に異常がなければ医師の問診がある。事前の問診票でも答えたような内容を口頭で再度答える。医師にこの間も会ったよね?と言われてちょっと恥ずかしい気もしてしまった。

その後かなりの時間を待たされて採尿と採血。前日の晩に絶食していたのと、デトックスを考えて大量の水を飲んでいたので小便はほとんど透明だった。

4本の小さい瓶に血を抜き取られて事前検診は終了。

お菓子とリンゴジュースを貰って施設を後にした。ずいぶん昔に日本で行った事のある献血の事を思い出した。

最寄りの駅まで車で送ってもらい、その足で煙草屋に向かう。検査の為に数日前から禁煙をしていたので、無事に検査が終わったご褒美に一服つけたかった。

久しぶりに吸い込んだ煙草の煙のせいでクラクラしてしまう。千鳥足みたいな感じでマクドナルドへコーヒーを買いに行った。コーヒーと煙草の組み合わせはなかなか止められないものだ。

施設はロサンゼルス南部のロングビーチまでそう遠くない所にあったので、気晴らしもかねてメトロに揺られてロングビーチへ行く事にした。イヤホンを沢山ぶら下げた売り子や大音量で音を流している黒人を横目に外の景色に目をやる。

ロスの南北をつなぐメトロブルーラインは、メトロと言ってもほとんどの区間路上を走っているのだ。路面電車ってやつだ。

ロングビーチダウンタウンの駅で降り、主な観光名所を巡る無料のバスに乗る事にした。PASSPORTという名のバスサービスに。

まずはマリーナへ足を運んでみた。Pine Avenue pierと言う小さな桟橋のあるマリーナへ。

綺麗に整備されたマリーナには沢山のヨットや観光船なんかが並んでいた。天気も景観も良くて散歩しているだけでも気分が明るくなる。

少し先に見えた灯台まで行こうと思い歩みを進める。マリーナ付近は木材が貼られた道があったりして横浜の大桟橋あたりに居るような気になった。

灯台の少し手前の歩道の両側にはえらく背の高いヤシの木が整列して居る様が美しく、ずっと歩いていたい気持ちになる。

少しもりあがった場所にある灯台からはロングビーチの港が一望できた。

黒と白の大型船が少し先に見えた。どうやらあれが噂に聞いていたクイーン・メリー号のようだ。

バス乗り場へ戻ってクイーン・メリー号へ向かうバスへ乗る事にした。バスはロサンゼルス川をまたぐ橋を渡りクイーン・メリー号のすぐそばまで行ってくれた。

第二次大戦中軍に徴用された経緯などを聞いていたので、山下公園にある氷川丸くらいの船を想像していたのだが見事に期待を裏切られた。

想像以上にでかい。船首から船尾まで歩いてみると3分くらいはかかった。横から見ると巨大な壁のようである。継ぎ目の分かりにくい溶接ではなく無数のリベットでつなぎ合わされた船体は無骨さを感じさせた。

クイーン・メリーの隣にソビエトの潜水艦が係留されているのには驚いた。 幾らか風化しているとはいえ、スコーピオンと言う名の潜水艦も格好良かった。

治験に向けてひきこもりがちだったけれど、久しぶりに気持ちの良い午後のおじさんぽを満喫することが出来た日だった。

日が暮れる前にロングビーチの氷川丸を後にし帰路に着いた。

宿に帰り久しぶりのビールと煙草を楽しみながら空を飛んでいく飛行機のライトをメキシコ国旗に見立てる。

そうだ、メヒカーノなどラティーノの日雇い労働者を集める手配師がやってくると言うホームセンターに行ってみる事にしよう。検査の結果をじっと待つだけの日々はもう飽きたぜ。

 
 
 

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