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オアハカ、エル・トゥーレとトラコルーラへ~メキシコ~

  • ナシオ
  • 2016年8月19日
  • 読了時間: 6分

オアハカからサン・ホセ・デル・パシフィコ~ポチュトラ~フチタンと移動してきた。ポチュトラからビーチへ行く事も考えたが少しでも東へ進もうとフチタンにやって来た。

オアハカには一週間も居なかったけれど、名物料理のチョコレート風味のソース、モーレ料理も堪能したし近郊の村々を訪れたりしてなかなか楽しめた気がする。モーレ・ネグロは甘いのと辛いのとコクが混じって不思議なうまさを醸し出していたなぁ。

エル・トゥーレと言う村に「アメリカ大陸最大の木」があると言うので足を運んでみた時の事だ。バスで30分位の場所にあると言うので、オアハカの街はずれの二等バスターミナルへ行ってバスを探す事にした。 古ぼけたバスターミナルだ。 広々とはしているのだが、暗い待合室に舗装もされていないバスの駐車場がどこか寂しさを感じる。エル・トゥーレ行きのチケットを扱う場所がどうにもこうにも分からない。 あまり時間を無駄にしたくもなかったので、誰かに聞いてみる事にした。 警備員の男に事情を話すと、一軒のバスチケット屋に連れて行ってくれた。警備員とチケット屋の男が話し終えると、チケット屋の男は目の前にあるバスに乗れと言う。 バスの運転手にも話しが伝わったようなのだが、運賃を聞いて払おうとしても受け取らない。 どう言う事か理解する前にバスは発車した。まあバスにも乗ったし行き先も伝えてあるし問題はないはずだ、と成り行きに身を任せる事にした。 バスターミナルを離れ10分も経たないうちに運転手から次で降りる様に言われた。 このバスはエル・トゥーレには行かないのか?と、不安に駆られる。 小さなバス停で降りると、運転手が後ろに並んだバスを指差し何かを言っている。 察するに「あのバスに乗るのだ。」と言う感じだ。 指差さされた小さなバスへ向かい、エル・トゥーレ行きかを聞くと、運転手はニコリと笑いながらそうだと答えた。 6ペソだか7ペソを支払いバスに乗り込んでから、ようやく事情が分かった。 最初に乗り込んだバスは行き先が違ったのだが、無償で僕をエル・トゥーレ行きのバスが来るバス停まで乗せてくれたと言う訳だ。 なんだか警備員にチケット屋にバスの運転手と、見事なまでの優しさの連携プレーに関心してしまった。 もう少し相手のスペイン語が理解出来る様にならねばなあ、と窓からの景色を眺めているとエル・トゥーレの村に着いた。 バスを降りると、手入れの行き届いた広場があり教会の姿が見える。どうやらここが村の中心のようだ。 大草原のど真ん中にあるのかと思った「アメリカ大陸最大の木」は、意外にも村の中心の教会の真横にあった。

教会の真横にある大木を真近で見るには10ペソを支払い教会の敷地内に入るチケットを買わなくてはならなかった。 真近で見る事でその幹周りの太さや所々にある木の瘤の表情が良く分かるのだが、木の全体を写真に収めようとするとかなり遠くからでないと収まり切らなかった。

樹齢およそ2000年。 神聖な空気を感じるどころか、その存在は人の手によって作られた巨大なオブジェにも思えてきた。とにかく幹周りの太さに圧倒されてしまったのだ。 巨木に圧倒されたか腹が減ってきたので、隣にあったメルカドでトラユーダと呼ばれるメキシコ風ピザを食べる事にした。 大きなトルティーヤに豆を煮たフリホーレスやチーズ、トマトやアボガドさらに薄い肉が載っかっている。生地がピザより薄いせいなのか、ペロリと一枚食べてしまえた。

食後の一服をしながら時計を見るとまだ昼過ぎだった。帰るにはまだ早いし、この先のトラコルーラの村には大規模な日曜市が開催されているとの情報だったので行ってみる事にした。 村の人に聞くと、トラコルーラ行きのバスはここからは無いが乗り合いタクシーならあると言う事だった。 通りに出てタクシーを待つ。 「tlacolula」とフロントガラスに書かれたタクシーを止め、料金を聞くと20ペソだと言う。 しかし後部に3人、運転手の隣には男が一人と満席に見える。 何処に乗ればいいか迷っていると助手席のドアが開いた。助手席には既に一人居るのだが、そこに乗れと言うのだ。 運転手を含め普通のセダンに6人を乗せてタクシーは走り出した。まさに乗り合いタクシーといった所だ。 トラコルーラが近づくにつれ客は一人また一人と降りて行き、トラコルーラの日曜市の辺りに着いた頃には客は僕一人になっていた。タクシーを降りて運転手に日曜市の場所を聞くとすぐそこだと言う。確かに目前に多くの人が歩くのが見えた。

その多くの人の流れに吸い込まれ、フルーツに野菜に日用品など多種多様な品揃えの日曜市を歩く事にした。

農機具の鋳物やバッタを炒った物など目を引く物が沢山あったが、一番面白かったのは礼拝堂の横にあったメルカド、市場の中だった。

礼拝堂や市場を囲むように小さな店が軒を連ねるトルコルーラの日曜市、迷い込むように市場の中に足を踏み入れた。 市場の場内に入ると肉を焼く匂いと白煙に包まれてしまった。自転車を改造したような刃物研ぎマシンを必死に漕ぐおっさんの姿も煙のせいかもやっとしてしまっている。

食堂でもあるのかと思い足を進めるが、あるのは肉屋とその目の前にあるバーベキュー台だけだ。

しばらくそのバーベキュー台の側で様子を伺っていると、肉屋の客が買った肉をすぐさまそのバーベキュー台で焼いているではないか。

焼いた物を包んでもらい帰る人も居れば、その場で野菜などを買い足し食べている人も居た。 肉を焼く匂いにつられ、一軒の肉屋で値段を聞いてみる事にした。 250グラムのセシーナ、軽く味の付いた干し肉のような物が40ペソだと言う。クアウトラでご馳走になったあれだ。日本円にしたら230円位である。 たまらずそれを注文すると、肉屋のおねーちゃんが焼き始めてくれた。僕は肉屋のブースの中にに用意された椅子に座り、出来上がりを待った。 程よく味の染みた肉はビールが欲しくなる美味さで、アッと言う間に全てを平らげてしまった。

買ったそばから焼いてくれるだなんて焼肉屋要らずの素晴らしいシステムだ。 ちょっとした贅沢な食事を済ませて市場の場外へ出た。 礼拝堂の広場でオルチャタ、米の汁に砂糖やらシナモンを足したジュースを飲みながらタバコを吸った。 家族連れがトウモロコシをかじりながら歩く姿が目に入る。 オアハカに来てからメキシコの北と比べると民族衣装に身を包んだ人が多く、その鮮やかな衣装とごちゃごちゃした市の有り様がインドを思い出させた。

まだ日のある内にオアハカ市内へ戻ろうと思い、日曜市の外れにあったバスターミナルに向かった。 ターミナルに着くとちょうどオアハカ行きが出る所だった。急いでバスに乗り込み席を確保した。 運転手が料金を集めにやって来た時思わず笑ってしまった。 その運転手は朝に無償でエル・トゥーレ行きのバス停まで乗せてくれた彼だったからだ。 自らが動けば面白いものにぶち当たると再認識した僕は、数日後にオアハカを後にし友人の勧めるサン・ホセ・デル・パシフィコへ向かった。

 
 
 

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