ガリフナのバイアグラ、Gifiti(ギフィティ)を飲む~リビングストン・グアテマラ~
- ナシオ
- 2017年1月14日
- 読了時間: 4分

タパードを食べにやって来たリビングストンの街。
その目的はすぐに叶える事が出来たし雨も多かったのだが、宿や街の感じが気に入ってしまい気が付くと1週間も滞在してしまった。
宿は観光客よりも仕事の人間、観光客を乗せてきたボートの運転手だったりガイド、が多くて比較的落ち着いたもんだった。
そういった地元の人間が多く泊まると言う事は、それだけ安い場所だと言う事だ。
僕の部屋はドアノブの鍵が壊れていて使い物にならず、その代わりに部屋の外で頑丈な南京錠を使ってドアをロックする事になっていた。共用のトイレ・シャワーの戸に至っては、壊れたスライド錠の代わりに3個のU字の金具と『釘』でドアを閉めておく仕様になっていた。
戸に2個のU字の金具が打ち付けられ、もう1個は蝶番の付いていない側の柱に打ち付けられていた。真横に並んだ3つのU字の金具の全てに『釘』を通すとロックがかかる。
いかにも貧乏くさい感じなのだが、安上がりに事を済ませる為に良く考えられた物だと感心するようになってしまった。
宿の親父は無口で不愛想な感じだったけれど、毎日休む事無く掃除や洗濯をして家族の誰よりも働いている姿を見ていると好感が持てた。
「ガリフナの味」もタパードだけでなく、僕が好きな酒のジャンルにもその味があった。
Gifiti、ギフィティと呼ばれるガリフナ伝統の酒に出会ったのはタパードを食べた店「Las Tres Garifunas」だった。
タパードを食べた日にメニューに「Gifiti Local Rom」の文字を見つけ、後日またそれだけを飲みに店に足を運んだのだ。

店に並んだ数々のギフィティのボトルの中には小枝や底の方には何かの種子の姿が見える。聞く所によると、ラムをベースに様々なハーブを漬け込んだ酒だという。

ショットで1杯頼むと、塩とライムがついてきた。なんだかテキーラでも飲むような感じだ。

ひと口舐める様に飲んでみる。
苦い!口に含んだ瞬間にやってきたのは苦さだ。
「ギフィティ」と言うのはガリフナの言葉なのだが、日本語で言えば「苦い」と言う意味なのだ。名前そのまんまの味わいがまずやって来た。
ブハーっと息を吐いて苦い苦いと言っていると、どことなく甘みが口の中に残っているのを感じる。
苦みの後にやってくる甘さが面白くて、繰り返しちびちび飲んではそれを楽しむ。
これはこれで唯一無二の味わいなのだろうけど、無理にでも何かに例えろと言われれば苦くしたイェーガー
マイスター、いや爽快感の少ないウンダーベルグと言った所か。
うーむ、どちらもしっくりこない例えだ。
店員のガリフナのお兄ちゃんに話を聞くと、ギフィティは薬代わりに飲むような物らしい。
熱や痛み、胃の調子を整えたりする効果があるらしく、苦ければ苦いほど胃薬としての効能が高いと言うのだ。
基本的にギフィティに入れるハーブは決まっているが、それぞれ作り手によって入れるものも微妙に違うので苦さや味わいが変わるらしい。
色々話を聞いて面白かったのはマリファナを漬け込んだものがあったりするって話や精力剤としての効果もあるから「ガリフナのバイアグラ」って呼ばれているって話だ。
せっかくだからギフィティの飲み比べでもしたいな、と思って店を後にして街中に並ぶ土産物屋の一軒で小さなボトルを買って帰る事にした。

ちゃんとラベルに「ガリフナのバイアグラ」て書いてある奴を買ったけど、別にやたらと興奮したりする事は無くて、店で飲んだ物よりも甘みがあって随分と飲み易かった。

そのギフィティを生のまま飲んでみたり、インスタントコーヒーに混ぜて飲んだりしてると結構気分が良くなってしまった。
上機嫌でリビングストンの街についてネットで調べていると、「Siete Altares(7つの祭壇)」と呼ばれる水場があって宿から歩いて1時間半位で行ける事が分かった。
「明日起きて雨が降っていなければそこへ行ってみよう!」と、適当に翌日の予定を立てて僕はさらに杯を重ねた。
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