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アートの力で生まれ変わったスラム~パチューカ~

  • ナシオ
  • 2016年2月28日
  • 読了時間: 4分

いかれた庭園ラス・ポサスのあるヒリトゥラでのんびり過ごし、バスチケット屋の腕毛の濃いお姉ちゃんに教えてもらったパチューカという街にやって来た。

ヒリトゥラを21時に出発したバスは寒い上に曲がりくねった道を走るので一睡も出来なかった。バスはいくつもの町で客を拾い、深夜3時頃にパチューカの街に到着した。

が、しかし安いバスを選んだせいなのかバスターミナルではなく大通り沿いにあるチケット売り場の前で降ろされてしまった。

深夜3時、見知らぬ街の良く分からない場所で一人。 これは危険かも知れないと思った。腕毛のお姉ちゃんにしっかり聞いておくべきだったと反省した。

幸運にも客を降ろしたばかりのタクシーを捕まえることが出来たのでバスターミナルへ向かった。 まだ日が昇る前に街に行ってもしょうがないし、外に居るのは何より寒くて仕方がなかった。

バスターミナルで暖かいコーヒーを飲んだりうたた寝して時間を潰すこと3時間ほど。 空が明るみかけた頃、バスに乗って街の中心へ向かった。

1ボックスのバン改装したバスに揺られていたのだが、運転手に一番近い席に座っていたので後ろの方の客たちから運賃を運転手に渡すように何度も頼まれた。

到着したのはメルカド、市場のそばだった。 安宿の情報が少ないパチューカだったので、前もって調べておいた宿へ向かう事にした。

目的の場所までたどり着いたが看板も無く扉も施錠されていて、ここが本当に安宿なのかと不安になった。 通りも住所も合っている。何度か呼び鈴をならすが応答がない。ひょっとしたら今日はツイて無い日なのかもしれないと、思った。 辺鄙な場所でバスを降ろされ、しまいには目星をつけていた宿が分からない。

困ったもんだ、と思っていると自分の方へ歩みを進める人間がいた。 「おはよう!」と声を掛けると「長い時間待ってた?」と返事が返って来た。

髭面の彼はその宿のスタッフだったのだ。

あぁ良かった、やっぱりここで合っていたのかと一安心して中に入った。 スタッフが宿に居る時間が決まっているようで、深夜から朝にかけては客以外いないとの事だった。

その日はくたびれてしまったので少し散歩をしたり、宿でゴロゴロして過ごした。 行きたかった場所、腕毛のおねーちゃんに思い出させてもらった場所へは翌日の昼頃に足を運んだ。

宿から歩いて30分ほどだったろうか、目的の場所が目に入って来た。

パルミタス

元は危険すぎて夜に出歩くことさえままならなかったと言うパルミタスというエリア。 そのスラムはアートの力によって変わった、と言うのだ。

丘にへばりつく様に存在する家々。 政府の援助とグラフィティーアーティスト達の手によって200を超えるその家々の壁がカラフルに塗られ、遠くから見ると巨大な壁画のように見えるというのだ。以前ネットで見かけたニュースなのだが、ヒリトゥラの街で思い出し、どうせならそれを見てからメキシコシティーへ向かおうと思っていたのだ。

宿の人間にそのエリアの中に入っても危険ではないかと聞いたが、あまりお勧めはしないとの事だった。 けれど、カラフルに塗られた階段を見ているとどうしても足を踏み入れたくなってしまった。

恐る恐る足を踏み入れてみるとそこに住む人たちから多くの笑顔を見る事は出来なかったが、挨拶をすれば返してくれると言った感じだ。

監視カメラも設置され治安状況も改善されたとは聞いていたが、天国でも楽園でもないようだ。いまだ貧しさは付きまとっているような感じを受けた。

写真を撮りモニタで確認している時、一人の男にじーっと見つめられていることに気付きこれは危ないかもと思い元スラムから出ることにした。

アートの力で生まれ変わったスラム~パチューカ~

カラフルな元スラム。見た目も気分も明るくしてくれる。 アートの力でスラムは生まれ変わったと言うが、このエリアの未来はどうなっていくのだろうか。

 
 
 

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