グアテマラ、サン・ペドロ・ラ・ラグーナを目指して~グアテマラ~
- ナシオ
- 2016年10月27日
- 読了時間: 5分

メキシコ、タパチュラの街からコレクティーボに乗ってグアテマラとの国境の街シウダー・イダルゴに向かった。
タパチュラやアカコヤグアで出会った人たちの顔を思い出しながら、突如始めたメキシコの日系移民の歴史の足跡をたどる旅を振り返っていた。
途中コレクティーボはシウダー・イダルゴの少し手前でぴたりと進まなくなってしまった。何事かと思い外を身を乗り出すように覗くと、グアテマラへ送られていくアメリカの中古スクールバスの長い列によって出来た渋滞で進めないようだった。
その黄色いスクールバスはグアテマラに入るとカラフルにデコレーションされたり、派手な音のクラクションを着けられたりして大幅な改造の後にグアテマラ庶民の足となる。
スクールバスはグアテマラに入ると「チキンバス」と呼び名が変わり、路線や時間帯によってはバス強盗が出ると聞いていた。
チキンバス強盗で命までは取られたくはないなぁ、などと思いながら車が進みだすのを待った。
なんだかんだで日本を出てアメリカとメキシコだけで一年になろうとしていた。
やっとこさ3か国目に入る訳だ。歩みの遅い亀のような旅だ。
コレクティーボがシウダー・イダルゴに着くと、国境の検問所は歩いてすぐの場所にあった。
リキシャの親父の誘いを断りメキシコの入管へと歩く。
メキシコの出国審査はスムーズに終わったのだが、グアテマラへと向かう橋を渡る通行料で2ペソ必要だったのは意外だった。このあたりはスチアテ川という名の川が国境線になっている。

その橋を渡っている時に一つ気づいたことがあった。
国力の差が出ているのだろうか、メキシコ側の通路には日よけの屋根がついているのだけれど、グアテマラ側にはその日差しが無い。

それを見ていると貧しさや政府機能の腐敗が想像されて、グアテマラに入るのに変な賄賂でも取られやしないかと思ってしまった。
けれども思いのほか感じの良かったグアテマラ入国審査官は賄賂を要求する事もなく、「タクシーに乗るならばあっちのほうだぞ。」と教えてくれた。

これはグアテマラの旅は幸先が良いなと思ったのだけれど、そこから目的地までの移動がやたらと面倒だった。
まずグアテマラ側の街テクン・ウマンのバスターミナルに行くのにリキシャを使った。
20ケツァール、およそ300円弱を支払ったのだけど、振り返ってみるとやたらと高い気がする。
テクン・ウマンのバスターミナルに着いてすぐさま寄って来た客引きにとりあえず着いていく。
とりあえずケツァルテナンゴ、通称シエラと言う街へ行きたい事を伝えるとそのバスに乗れと言われる。 下調べもあまりしていなかったので、とりあえずシエラまで行き時間に余裕があればサン・ペドロ・ラ・ラグーナという湖畔の村を目指そうと思っていたのだ。
大型観光バスに乗り25ケツァールを払い1時間も走った頃だろうか、コアテペケという街で降ろされた。
バスを降りて一息つこうと思ったのだけど、僕の真横を「シエラ~!シエラ~!」と乗務員が叫ぶチキンバスがのろのろと横切った。
急いでそのバスに駆け寄り呼び止め、バックパックを乗務員に預けて屋根に載せてもらい乗り込んだ。
噂のチキンバスに駆け込み乗車していまったではないか。
シエラまで30ケツァールと言われたが、メキシコのペソの感覚をひきずってしまっていたので高いのか安いのか分からないまま支払った。
混雑すると聞いていたチキンバスは比較的客も少なく、強盗に遭いそうな「ヤバい」雰囲気は感じなかった。

およそ3時間チキンバスに揺られてシエラに到着すると、まだ15時前だった。
これならサン・ペドロ・ラ・ラグーナまで行ける!と思ってバスを探す事にした。
シエラのバスターミナルは沢山の人とチキンバスで溢れかえっていた。バスを探すと言っても僕に声を掛けてきたバスの客引きにサン・ペドロ・ラ・ラグーナに行きたいと言って、「あれに乗れ!」と言われたチキンバスにそのまま乗ったに過ぎない。

このバスも直通では無く、乗り換えが必要だった。

集金係の乗務員に降りる場所になったら教えてくれるように頼んで、20ケツァールを払った。
シエラを離れてしばらくするとチキンバスは霧に包まれた。ほんの少し先までしか目視できないほど濃い霧の中をバスは山道をぐいぐい進んでいく。
そろそろ降りなくてはいけない場所かなと、外の景色や看板を確認しようにも霧であまり良く分からない。 乗務員にも声を掛けられてないので、まだしばらく先だと安心していた。
しばらくして乗務員に「降りる場所だぞ!」と言われて急いでバスを降りた。
バスの後ろに回って屋根の上に積まれたバックパックを受け取りに行くが、バスが走り出してしまったせいか乗務員が僕のバックパックを屋根の上から放り投げてきた。
久々に頭に来て走り去るチキンバスに悪態をついた。唾を吐き中指を立てる。
「はぁ~。嫌になるわぁ。」と、ため息ひとつ。
煙草を一服して心を落ち着かせる。
一服を済ませ、近くに居たトゥクトゥクの親父にサン・ペドロ・ラ・ラグーナへ行けるかを聞いたのだが、何だか話がかみ合わない。
さらに別のセダンのタクシーの運転手にも話を聞いてみたが、話がスムーズに通じない。
シエラからバスに乗りここまで来て、ここからサン・ペドロ・ラ・ラグーナへ向かっている途中なのだと一通り事情を話してみた。
するとビックリ仰天、
「降りる場所を通り過ぎてるよ、君。」
と、タクシーの運転手の答えがが返って来た。
今居る場所はパナハッチェルと言う村に行くポイントであって、サン・ペドロ・ラ・ラグーナへはもっと手前の「148㎞ポイント」で降りなければならなかったと言うのだ。
「我的老天!Oh my God! Dios mio! まじかよ!」と、驚きを隠せない自分が居た…。
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