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アンティグアからコバンの街へ~グアテマラ・コバン~

  • ナシオ
  • 2016年11月24日
  • 読了時間: 5分

宿を変えただけでこうも快適、と言うかストレスが減る物なのかと思った。

結局ドミトリーで45ケツァールの飲んだくれが管理する宿から、個室で60ケツァールの宿に居を移した。移った先の宿はバナナとパンケーキとコーヒーと言うシンプルな物だが朝食が付き、酔っ払いに絡まれる事無く静かに過ごすことが出来た。

アンティグア

死者の日の祭りを見た後すぐにアンティグアを離れる予定だった。

けれど、ノートPCの液晶割れが酷くなって来ていたのでその月に投稿しなければならない記事を書き終えてから移動する事にしたのだ。

ハードな移動でいきなり画面が真っ暗になってしまっても困る。

インターネットメディアに月に3本、数千円のわずかな収入なのだが、塵も積もれば山となると思える旅先での大事な収入源だ。

宿は客もまばらで静かだったし、部屋には机もあったので書き物も順調に進んだ。やらなくてはいけない書き物を終え、友人と最後に酒を飲み、僕はコバンと言う街を目指した。

当初はセムクチャンペイと言う美しい川の棚田を見に行くつもりだった。アンティグアから一気にコバンに行こうとすると、朝に出てセムクチャンペイへは夜に到着すると言う事だ。

飲んだくれた日々を過ごしてしまったせいか、その長距離の移動が面倒臭くなりセムクチャンペイの手前にあるコバンと言う街を目指す事にした。

コバンからセムクチャンペイに行く事も出来そうだし、コバンに何か面白い物が有るかも知れない、そう思っての決断だった。

朝8時にアンティグアを出たシャトルバスは途中崖崩れの復旧工事のせいで発生した渋滞にはまりながらも、15時過ぎにはコバンの街に着いた。

アンティグア コバン

ここで降りたのは僕を含め3人ほど、残りの多くはセムクチャンペイ近くのランキンと言う村までの客だった。

目的の宿はシングルルームを希望したのだが、その時点では空きが無くセミダブルが2つ並んだ広い部屋に通された。値段はシングルと同じく60ケツァールで良いと言う。テレビもあって自分にしてはかなり豪華な部屋だった。

歳のせいなのか、イビキの件を気にしているのか多少値段は高いが個室を選ぶようになっていた。

人との交流は減ってしまうが、疲れていたり1人で居たい時は個室が良い。アンティグアで宿を変えた時に個室のうま味を覚えてしまっただけかも知れないけれど。

荷物を部屋に降ろし、街の地図でももらおうと思いツーリストインフォメーションを探しに街に出た。

街の中心は教会と目の前に広がる広場だ。教会も広場もさほど大きくなく、賑わっていたのは市場の周辺ぐらいな物だった。

教会を背にして広場へ向かい大通りを歩くと、探していたツーリストインフォメーションの看板がすぐに目に入った。

入り口を入ると小さな中庭があり、右手の小さな建物にインフォメーションデスクがあった。

初老の女性に「こんにちわ。」と声を掛けて、街の地図の様な物が貰えないかを尋ねた。彼女は自分の座っていた椅子の後ろにある棚から、小さ目のカラーの地図を持ってきた。

コバンの街の描かれた地図、裏にはいくらか広域の地図が描かれていた。

彼女はそれを広げ、街についてざっくりと説明をしてくれた後こう聞いてきた。

「どこか行きたいところはあるの?」

セムクチャンペイへ行こうとは思っているのだけど、他にも面白い所はないか?と返した。

「レイ・マルコスなんてどうかしら?」

初めて聞く名前に興味津々になり、そこには何があるのかを聞き返す。

どうやらレイ・マルコス洞窟と言う洞窟があり、そのあたりは美しい自然と川がありグアテマラの人には人気のスポットだと言う事だった。

「明日の朝そこに行こうと思います。行き方を教えてくれませんか?」

本当に行くか行かないかは別として、行き方や料金ぐらい聞いておこうと思いそう聞き返していた。

彼女は渡してくれた地図では無く、チラシの裏に手書きで地図を書き始めてバスの乗り場を説明してくれた。

コバン ツーリストインフォメーション

「これが教会でこれが公園…ここには壊れた車が沢山あるわ。そこから少し進むと橋があって…。」

と、懇切丁寧に説明してくれた。わざわざどこかに電話をかけて、バスの代金まで聞いてくれた。

ツーリストインフォメーション自体久しぶりに訪れたのだが、こうやって丁寧な対応をされると他の土地でももっと活用しておけば良かった、なんて思った。

さらにはその親切さのせいか、そこへ行かなくてはならない使命感の様な物が生まれていた。一通り説明を受けて、訪れた人が記入する事になっているノートに名前や国籍などを記入した。

「japon!(日本)」と彼女が小さく声を発した。

そう、日本からですよ。と返すと彼女はうれしそうな顔をしてこう言った。

「2008年だったかな、私は日本に行った事があるの!とても美しくてとても綺麗な国よね。」

話を聞けばJICAの活動の一環で日本に行く機会があったらしいのだが、祖国を褒められてなんだか僕自身嬉しくなってしまった。

握手をして彼女にお礼を言い、ツーリストインフォメーションを後にした。

宿に帰り、ネットでレイ・マルコス洞窟の情報を集める事にした。

スペイン語や英語で検索をかけてもセムクチャンペイよりも圧倒的に情報量が少ない。

けれど、ヘルメットを被りヘッドライトを点けてレイ・マルコス洞窟内を探検する写真を見ると冒険心をくすぐられてしまい、これを見ずしてコバンの街を離れるのは勿体無い気がした。

僕は翌日にレイ・マルコスに行く事を決め、宿の屋上へ行き明日の空模様を占った。

「一年の内13か月雨が降る。」と言われる程雨の多いコバンの街から見る夕景は、ジャングルを這うようにしてかかった霧が神秘的で明日の洞窟探検の期待を高めた。

コバン
 
 
 

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