温泉の流れる滝、「Finca El Paraiso(フィンカ・エル・パライソ)」へ!~リオ・ドゥルセ グアテマラ~
- ナシオ
- 2016年12月5日
- 読了時間: 5分

レイ・マルコス洞窟を探検を存分に楽しんだ翌日、宿の階段の昇り降りで違和感を感じる程度の筋肉痛に見舞われた。
毎日幾らかの山登りをしてから現場仕事をしていた父島の頃から比べると、長旅の間で身体は衰えてしまったようだ。
洞窟探検を相当楽しんだ僕は、美しい棚田で有名な観光地セムクチャンペイへ行く事を止めた。コバン近郊で他の洞窟探検をする事も考えたのだが、雨ばかりのコバンの街に少々嫌気がさしていた。
スコールの様に一時的にワーッと降って止んでくれればまだいいものの、シトシトと日本の梅雨時を思い出させるコバンの雨に気が滅入ってしまったのだ。
一気に長距離の移動をして雨から逃げよう、僕はそう思ってリオ・ドゥルセと言う街に行く事を決めた。
リオ・ドゥルセはイサベル湖と言うひょうたん型の湖のくびれた場所に位置し、イサベル湖周辺のの観光の拠点になっている街だ。
調べを進めて行くと、リオ・ドゥルセからバスで1時間もしない場所に温泉の流れる滝があると言う素晴らしい情報に出会った。
その名も「Finca Paraiso(楽園の農場)」。
その名前の響きのせいなのか僕はレイ・マルコス洞窟の情報を得た時の様に興奮し、是が非でもそこへ行きたくなってしまった。
思い立ったが吉日、リオ・ドゥルセの下調べを済ませた僕は数日の滞在の後コバンを離れた。
コバン~リオ・ドゥルセ間は直通のバスが無く、エル・ランチョと言う村まで行ってバスを乗り換える事になった。
アンティグアからコバンへ向かった道を少し戻る事になるルートだったけれど、誰に聞いてもそのルートを勧めてきたので一番確実なルートなのだろう。
この日は乗り換えのタイミングも良く、エル・ランチョではさほど待ち時間も無くリオ・ドゥルセ行きのバスに乗る事が出来た。
エアコンも付いた比較的グレードの高い大型の観光バスは快適で、チキンバスの様に気を張る事もなく車窓からの景色をぼーっと眺めていた。
リオ・ドゥルセに到着すると、バスの到着を待ち構えていたホテルの客引き達に声を掛けられた。
話を聞くと安宿はどこも少し高いと思うような値段だったので、客引きと離れ煙草を吸ってどうするかを考え始めた。
ジャングルの中の良さそうな安宿でのんびりする事に惹かれてはいたけれど、小舟の送迎が無いとその宿に行く事が出来ないのが難点だった。
温泉に入ったらすぐにこの街を離れるつもりだったし、次に予定している目的地リビングストンへ向かうボート乗り場も近い場所が良いと考えた。
煙草を吸い終え、客引きにシングルで少し高くても良いからこの近くに宿は無いか?と聞くと、100ケツァールを切るシングルのある宿を教えてくれた。
その宿はバスターミナルからもリビングストン行きのボート乗り場も近く、宿の人間に話を聞くと1晩80ケツァールと言う事だった。
すぐに移動する事だろうしと、日本円にして1200円ほどと少し高いが利便性を考えてその宿に部屋を取った。
雨から逃げる事が嬉しかった事とTシャツと短パンで居る事の出来る気候でビールが美味しく、1本飲んでは買い足してを繰り返し5本もビールを飲んでしまった。 酒も煙草も飲まなければもっと安上がりに旅が出来る事は分かっているけれど、食費をケチっている代わりにその土地のビールや煙草くらいは存分に味わおうと言い訳めいた考えが浮かんでしまっていた。
翌朝、早い時間に起きて温泉の流れる滝へ向かった。
リオ・ドゥルセの街から溢れるほど客を乗せたコレクティーボに乗り1時間弱、「Finca Paraiso」の前へとやって来た。

自分で車を走らせていたらうっかり通り過ぎてしまいそうな殺風景な一本道の途中でバスを降り、滝へ向かうと思われる人々の後について園内に入った。
客を待ち構えていた親父に10ケツァールを支払い、川沿いの林道を上流に向かって歩く。

途中うっすらと硫黄の様な匂いを感じ、温泉への期待が高まる。
10分ほど歩き温泉の滝に到着すると、グアテマラ人の家族連れや欧米人のツーリストの先客が滝に打たれたり滝つぼを泳いだりして遊んでいる姿が目に入った。みんな楽しそうにしていてのほほんとした雰囲気だ。


人の拳の様なボコッとせり出した岩場から流れ落ちる無数の滝のラインが美しく、しばし見入ってしまった。

けれど目的は「温泉」に浸かる事。
既に水着でやって来ていたので、Goproだけバックパックから取り出し滝へと急いだ。
ザブンと浸かった滝つぼの水が少し冷たくてビックリしてしまったが、水温は滝に近づくにつれて生暖かくなって行った。

けれど意外にも滝つぼの水の流れが激しく滝にうまく当たることが出来ず、左手に見えた岩場を上り一段高い場所に行って滝に打たれる事にした。
熱過ぎる事も無くぬる過ぎる事もなく。
久々の温泉が打たせ湯だなんて最高の気分だった。
自分好みの強さの滝の流れを探す事も出来て、頭から腕から腰までと色々な部分を温泉の滝に当てて楽しんだ。

勢いが強い場所で頭に滝を浴びていると首を真っ直ぐに立てていられない位だったが、当たっているうちに頭がすっきりして来た。
人の動きを見ていると、滝の上にも遊び場があるようだった。
滝の横の険しい崖を木を頼りに登って行く。

自分も同じようにその崖を上り、滝の上へ向かった。
滝の上には人が足を延ばせて浸かる事が出来る位の大きさの穴があって、そこで湯船に浸かるような感じで温泉に身を沈めることが出来る。

打たせ湯から自然の湯船へ。
この湯船に浸かっている時、ここはまさに「楽園」だと思った。
湯船を存分に楽しんだ僕はさらに上流へと向かった。
雨でぬかるんだ道に足を取られてすっ転びそうになりながら進んでいく。

しばらく歩くと、木々に囲まれた小さな池があった。水位は30センチほどだろうか、池の底は目の粗い砂地になっていた。

足を水につけると暖かい。
池の水面を見ていると下から何かが湧き出て出来ているような波紋が見えた。

その波紋の真下に手を突っ込むと、暖かい水が湧き出ているのを感じた。
あの流れ落ちる温泉の滝の源泉か⁈
源泉かけ流し、打たせ湯、天然の湯船。
なんと贅沢な事よ。
源泉が湧き出るのを感じながら、温泉の心地良さと素晴らしい場所に巡り合えた事に幸せを噛み締めていた。
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