ガリフナの地、リビングストンへ~リビングストン・グアテマラ~
- ナシオ
- 2016年12月19日
- 読了時間: 5分

温泉の流れる滝、「Finca el paraiso」を堪能した僕は次の目的地のリビングストンの街を目指した。
リビングストンには「ガリフナ」と呼ばれる黒人奴隷とカリブ諸島の先住民をルーツに持つ人々が多く住んでいると言う街だ。
色々と調べを進めて行くと、彼らが話すガリフナ語がユネスコによって世界無形文化遺産として登録されていたり、独自の音楽や食文化を持つと言うではないか。
なんだかマヤ文明の地グアテマラでは相当異色で面白そうな街である。
タパードと呼ばれるココナッツでシーフードを煮込んだスープが絶品だと言う話も聞いていた。メキシコやグアテマラでは肉がメインの食事が多かったので、絶品と言われるタパードをどうしても食べたくなってしまった。
タパードを食べにリビングストンまで行く。
それが口に合うかどうかも分からないのだけど、人間食べ物が絡むと意外な行動力を発揮するものである。
リオ・ドゥルセからはボートに乗ってリビングストンに向かった。
いや、リオ・ドゥルセ以外の街から行くにしてもボートに乗らなくてはたどり着けない場所なのだ。イサベル湖の端っこ、カリブ海に面した場所にあるリビングストンは北にはベリーズ、東にはホンジュラスの国々に近い場所なのだが陸の孤島と言うにふさわしく車ではたどり着くことが出来ない辺鄙な場所なのだ。
125ケツァールと言うバスなんかに比べるとかなり高い運賃を払ってボートに乗り込んだ。出船の時間ぎりぎりまで客を集めるもんだから、さほど大きくないボートはぎゅうぎゅう詰めになってしまった。

リオ・ドゥルセを出発し、イサベル湖をカリブ海側に向かう
途中湖畔のジャングルの中のにある宿や民家で人を乗せたり降ろしたりをしながらリビングストンへ。

高い金を払ったボートだったけれどジャングルクルーズな感じで結構楽しいな、なんて思っていると雨が降って来てしまった。

これはリビングストンに着くころにはずぶ濡れになってしまうと思ったのだが、ボートを操船する親父がブルーシートを客に渡しそれを皆で頭の上に広げ急場をしのいだ。

かなり大きいブルーシートだったのだけれど、端っこの乗客まで少しばかりシートが足りず、何人かが雨に濡れ舌打ちしたり文句を言ったりしていた。
自分は雨から身を守ることが出来ていたので彼らに申し訳ないような気持ちもあったのだけど、シートの端っこを握りしめながらもずぶ濡れになっている姿に笑ってしまいそうになった。
雨はしばらくすると止み、ボートは再びスピードを上げてリビングストンを目指した。
湖畔沿いに住む人たちの家やホテル、カヌーで移動する住民達を横目にボートはグイグイと進んでいった。


日も傾き始めた頃、ボートはリビングストンの桟橋へ到着した。
バックパックを受け取り桟橋へ上がると、客引きのような男に声を掛けらた。
ホテルは決まっているのか?とかガンジャを買わないか?だとか、着いて早々に肌の黒いガリフナと思える男たちに歓迎された。
何となく面白そうな気がしたのでその一人に着いて行き、宿を紹介してもらう事になった。
小さい海辺の街は他のグアテマラの街と違って黒人の姿を多く見かけた。ドレッドヘアーだったり、ラスタカラーの帽子を被ったガリフナの男たちを見ているとジャマイカにでもやって来た気分だった。
客引きに紹介された宿は欧米人バックパッカーの多い宿だった。値段もそこまで安くないし少し騒がしそうな感じがしたので、客引きの男にはやっぱり自分で宿を探すと伝えそこで別れた。
桟橋から左へ行った通りを彼に着いて行ったのだが、その先には建物もまばらになって来ていたので来た道を戻る事にした。
来た道を戻りつつ何軒かの宿に値段を聞いたがどうも高い。少し長居しようと思っていた街だったので、なるべく安く滞在出来る宿が良かった。
桟橋までだいぶ近づいた場所で一軒の宿を見つけた。
「Hotel El Viajero」、Viajeroはスペイン語で「旅人」を意味する単語だ。

その宿の名といくらかくたびれた受付を見て、同じくいくらかくたびれた旅人の僕にはうってつけだな、と思い中に入った。
がっちりとした体格で少し不愛想な宿の親父に話を聞くと、個室で30ケツァールだと言う。客引きに着いて行った宿はドミトリーで50ケツァールだったから相当安い値段だ。
部屋を見せてもらうと窓が2つの面にあり風通しも良く、小さな扇風機がベッドの上に据え付けられていてどこか東南アジアの安宿を思い出させるものだった。
1泊あたり日本円にして450円。僕はとりあえず2泊分の宿代を払いその部屋に荷物を降ろした。
宿探しに思いの外時間がかかっていたようで、部屋で一息つくと辺りはもう薄暗くなって来ていた。
ビールと軽い夕飯でも買おうと街に出ると、桟橋でガンジャを買わないか?と声を掛けてきた男とばったり再会した。
どこから来たのか?どこに泊まる事にしたのか?なんて会話をしながら少し一緒に散歩する事になった。特に頼んでも無いのに、そのガリフナの男は安くて美味いレストランや娼婦の居る場所なんかを僕に教えてくれた。情報は金になる程貴重な物だ。ただで色々教えてくれるなんてありがたい事だ。
まぁガンジャを売りつけたかったのだろうけれど、僕は有益な情報だけもらい彼と別れてビールとタマレスを買って宿に帰る事にした。
僕の部屋の外には椅子とサマーベッドが置いてあって、夕涼みをするには抜群の環境だった。
椅子に腰かけタマレスをつまみにビールを飲みながら中庭の夜風に葉を揺らす椰子の木を眺める。
安くて居心地の良い宿を見つける事が出来た事に満足した僕は移動の疲れもあってかビールを飲み終え部屋に入るとすぐに眠ってしまった。
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